税金は「払わないといけないものだから、払って終わり」になりやすい支出です。ただ、納め方は選べます。法人税や消費税をクレジットカードで納付できることは、意外と知られていません。
この話をすると、たいてい「結局お得なんですか」と聞かれます。そして、その聞き方のままだと答えが出ません。理由から説明します。
還元率と手数料の差だけで判断すると、答えが出ない
カード納付には決済手数料がかかります。納付額に応じて決まる仕組みで、無料ではありません。一方でカードの還元も付きます。
この2つを引き算すると、多くの場合、差はごくわずかになります。だから「手間をかけるほどではない」という結論になりがちです。ここで止まってしまうのが、いちばんもったいないところです。
納付額は会社によって大きく違いますし、手数料の料率も納付額の帯によって変わります。ですから一般論として「得か損か」を先に決めることはできません。判断するなら、次の4つを自社の数字で並べる必要があります。
- 決済手数料はいくらか
- どれだけ還元されるか
- その還元を、最終的に何に変えるか
- 現金が出ていくタイミングがどれだけ後ろにずれるか
還元は「何に変えるか」で価値が変わる
3つ目が抜けている会社がとても多いです。貯まったポイントを何に変えるかを決めていないと、還元は最も単純な使い方のまま眠ります。
同じ還元でも、出口を先に決めているかどうかで残る価値は変わります。ただし交換先ごとに上限や条件があり、しかも数年おきに改定されます。「たくさん貯まる」ではなく「自社の場合、いつ・何に・誰の名義で使うのか」を先に決めておくほうが確実です。
実はいちばん効くのが、現金が出ていくタイミング
私が納税のカード払いで最も価値があると考えているのは、還元ではなくこちらです。
納付した日と、カードの口座引き落とし日は同じではありません。締め日と支払日の組み合わせによっては、実際に会社から現金が出ていくまでに時間を確保できます。
売上はある。利益も出ている。それでも「今月だけ現金が薄い」ということは普通に起きます。納税は金額が大きいぶん、この数週間の効き方が大きくなります。
ただし、これは支払う総額が減る話ではありません。手元に置いておける期間が延びるだけです。そこを取り違えて資金繰りの穴を先送りすると、翌月に同じ問題が来ます。
年間の利用条件と、あわせて設計する
カードによっては、年間の利用額が一定に達すると付く特典があります。宿泊に使えるもの、上級会員資格につながるものなどです。
納税は金額が大きいので、この年間条件の達成に効きます。つまり「還元をもらう」だけでなく、年間利用条件の達成まで含めて設計できます。ここまで見ると、カード納付は節約術ではなく財務の設計に近くなります。
カードによって、条件がまったく違う
ややこしいのは、税金の支払いに対する扱いがカードごとに違うことです。
- 通常の買い物と同じように還元されるもの
- 税金の支払いだけ還元率が下がるもの
- 還元に上限が設けられているもの
- 年間の利用実績には算入されるが、還元は付かないもの
- 他の決済との組み合わせで条件が変わるもの
ここを確認せずに「還元率が高そうだから」で選ぶと、想定していた結果になりません。しかも条件は改定されるので、一度調べた知識はそのまま使えません。
決める前に、自社について確認しておくこと
実際に検討するときは、次の順で自社の状況を整理します。
- 年間でどれだけの金額を決済しているか(税金以外も含めて)
- 今使っているカードの限度額と、税金の扱いはどうなっているか
- 出張や宿泊がどれくらいあるか
- 貯まったものを、最終的に何に変えたいか
決済額も、使っているカードも、出張の多さも、欲しい特典も、会社によって違います。ですから「このカードが一番いい」という答えは存在しません。自社の数字を並べて初めて決まります。
なお、決済手数料の扱いや、還元を誰の名義で受け取るかは税務上の論点になります。進める前に顧問税理士に確認してください。
どうせ出ていくお金なら、どうすれば会社に一番価値を残せるか。納税の支払い方を考えることは、その一例にすぎません。

