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COLUMN

社外CFO 矢野誠の経営コラム

「もっと主体的に動いてほしい」が伝わらない理由——言語化の次に必要なもう一段

執筆者 | 8月 14, 2026 | 人事評価・組織

先日、AIに自分を表現する一枚のイラストを描かせてみました。指示に使った文章は、かなり長いものになりました。どんな色にするのか。どんな表情にするのか。何を象徴させるのか。どんな未来を表現したいのか。ここまで細かく言葉にして、ようやく想像に近いものが出てきます。

この作業をしていて、経営でまったく同じことが起きていると気づきました。ただし人間が相手の場合、AIと同じやり方では足りません。本稿ではその違いについて書きます。

「いい感じにして」では、何も出てこない

AIは、こちらの頭の中を勝手に理解してくれるわけではありません。いい感じにして、私っぽくして、カッコよくして。この程度の指示では、想像とはまったく違うものが出てきます。

逆に、自分が何を大切にしていて、何を伝えたいのかを具体的に言葉にするほど、それを形にしてくれます。出てくるものの質は、こちらの言語化の精度で決まります。

社長の頭の中には完成図がある。社員には見えていない

これは経営でも同じです。

もっと主体的に動いてほしい。お客様を大切にしてほしい。会社のことを考えてほしい。社長がこう伝えても、受け取り方は人によってばらばらになります。

原因は、社長の頭の中には完成図があるのに、社員にはそれが見えていないことです。何年もかけて考えてきた本人にとっては当たり前のことでも、聞いている側には情報が足りていません。伝わらないのは、相手の理解力の問題ではありません。

だから、ここまで具体的に言葉にする必要があります。何をしてほしいのか。なぜそれが必要なのか。どんな状態を目指しているのか。AIに指示を出すときと同じ密度です。

主体的に動いてほしい、を分解すると、たとえばこうなります。お客様から質問を受けたとき、自分の判断で答えてよい範囲はどこまでか。判断に迷ったら誰に聞くのか。聞かずに進めてよいのはどういう場合か。ここまで書けば、動けます。

ただし、人はAIとは違う

ここからが本題です。

AIなら、具体的に指示すればかなり忠実に動いてくれます。しかし人間の場合は、正しいことを言えば動くとは限りません。

言語化した内容が正確であることと、それが相手に届くことは別の話です。ここを同じだと思っていると、正しいことを繰り返し言っているのに現場が変わらない、という状態になります。多くの経営者が消耗しているのは、たいていここです。

同じ内容でも、届く形は人によって違う

同じことを伝えるにしても、相手によって効く形が違います。

  • 数字で伝えたほうが理解しやすい人
  • 具体例で伝えたほうが分かる人
  • 未来を見せたほうが動く人
  • まず不安を取り除いたほうが動ける人

4番目は見落とされがちです。動かない人が反対しているとは限りません。失敗したときにどうなるかが分からないので止まっている、という場合があります。この人に未来のビジョンを熱く語っても、不安は消えません。先に、失敗しても大丈夫な範囲を示すほうが早い。

社長自身が数字で動くタイプだと、全員に数字で説明しがちです。自分に効いた伝え方が、相手にも効くとは限りません。

2段階に分けて考える

そこで、次の2段階で考えるようにしています。

第1段階は、AIに指示するくらい具体的に言語化すること。曖昧なまま伝えない。第2段階は、それを相手に合わせて伝わる形に変えること。同じ中身を、相手ごとに翻訳します。

順番が大事です。第1段階を飛ばして第2段階だけをやると、伝え方は上手いのに中身が曖昧という状態になります。逆に第1段階だけで止まると、正しい文書が回覧されているだけで誰も動きません。

評価制度も、理念も、会議も、同じ構造

この2段階は、経営のあらゆる場面で同じ形をしています。

人事評価制度が形骸化する典型は、評価項目が抽象的なまま運用されることです。積極性、協調性、責任感。これでは評価する側もされる側も、何を指しているのか分かりません。第1段階が終わっていない状態です。

一方、項目を精緻につくり込んだのに現場が使わない、という失敗もあります。こちらは第2段階が抜けています。制度の意図が評価者に届いていないので、運用が続きません。

経営理念も同じです。言葉が磨かれていても、それが日々の判断のどこに効くのかが示されていなければ、額縁の中で終わります。会議も、営業も、構造は変わりません。

AIが賢くなるほど、この2つで差がつく

AIがどんどん賢くなる時代だからこそ、最後に差がつくのは、何を考えているかを言葉にする力と、相手に伝わるように届ける力なのだと思います。

AIへの指示を書く作業は、この1つ目を鍛える練習になります。曖昧なまま投げれば、曖昧な結果が返ってくる。自分の言語化がどれだけ粗いかが、その場で見えます。

頭の中にあるものを言葉にし、その言葉を相手に届く形へ変える。ここができると、組織はかなり変わります。

同じことを何度も言っているのに現場が変わらない。評価制度をつくったが運用されていない。そう感じている経営者の方は、まず60分、御社の話を聞かせてください。第1段階と第2段階のどちらで止まっているかを、一緒に見ます。


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利益計画も、賞与原資も、人事評価も、同じ一人が書きます。財務と人事評価を一体で設計する社外CFOです。大阪・関西の中小企業へ。

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医療経営士
医業経営コンサルタント
事業承継士
事業再生マネージャー(TAM)
中小企業診断士
(登録番号:422721) WEB
認定経営革新等支援機関
(認定番号:107927002010)WEB
キャッシュフローコーチ
(日本キャッシュフローコーチ協会)
甲種危険物取扱者
M&A支援機関(登録名義:矢野誠)
クリニック経営士
人事制度構築士
ウェルスダイナミクスコンサルタント
DiSC理論認定トレーナー
バトンズ認定M&A専門家 WEB

【主な支援実績】

経営理念策定・浸透支援
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