大阪・吹田周辺で、運送業や建設業の経営者から資金繰りのご相談をいただくことが増えています。売上は立っているのに、手元の現金が薄い。この状態が続くと、車両や重機の入れ替えの判断ができなくなります。
「運送業 資金繰り」で検索すると、上位に出てくる記事の多くはファクタリングを勧めています。売掛金を早く現金化する手段としては有効ですが、手数料の分だけ利益は確実に減ります。使うかどうかを決める前に、確認しておきたい数字が3つあります。
なぜ運送業と建設業は、黒字でも現金が薄くなるのか
この2つの業種には、構造的に共通する事情があります。
ひとつは入金の遅さです。運送業では売掛先からの入金が2か月先になることも珍しくないとされます。その間も燃料費と人件費は出ていきます。建設業も工事完了までの立替が長く、同じ形になります。
もうひとつは設備投資の重さです。車両一台あたりの価格は高額で、ローンやリースの支払いは長期にわたってキャッシュフローに影響します。重機も同じです。
そこに、労働時間の上限規制が重なりました。労働時間の制限による売上の減少と、処遇改善に伴う人件費の増大が、同時に効いています。売上を伸ばそうとすれば人件費が増え、人件費を抑えれば人が採れない。この挟み撃ちが、いま多くの会社で起きていることです。
見る数字1 入金サイトと支払サイトの差は何日か
最初に出すのは、売掛金の回収日と、買掛金や外注費の支払日の差です。
入金が支払いより遅ければ、その日数分の運転資金を常に立て替えていることになります。月商が増えるほど、立て替える金額も増える。売上が伸びているのに現金が減る会社は、ほぼこれが原因です。
ここで先に手を打つべきは、資金を借りることではなく日数を縮めることです。主要取引先ごとに入金サイトを並べると、1社だけ極端に遅い先が見つかることがあります。その1社の条件を動かすだけで、必要な運転資金が変わります。ファクタリングの手数料を払い続けるより、交渉を1回するほうが安い場合は少なくありません。
見る数字2 人件費は、売上に対してどう動いているか
次に、人件費の総額ではなく、売上に対する比率の推移を見ます。
気をつけたいのは、時間外や深夜、休日に仕事が寄っている場合です。労働基準法では、法定時間外労働に25%以上、深夜労働に25%以上、法定休日労働に35%以上の割増賃金が必要です。時間外と深夜が重なれば50%以上になります。同じ作業でも、時間帯を寄せた瞬間に人件費は1.25倍から1.5倍に膨らみます。
ここを見ずに「人件費が高い」と判断すると、賃金を抑える方向に手が向きます。すると人が辞め、残った人にさらに時間外が寄り、人件費率はむしろ上がります。見るべきは単価ではなく、どの時間帯にどれだけ仕事が寄っているかです。
見る数字3 返済が、何年分の利益を先に使っているか
3つ目は、年間の返済額と、税引後利益に減価償却費を足した金額の比較です。
返済のほうが大きければ、その差額は毎年、手元の現金から出ていきます。決算書が黒字でも現金が減るのは、この形になっているときです。車両や重機を複数台まとめて入れ替えた翌年に苦しくなる会社は、ここを見ていません。
この数字が出れば、次の設備投資を何年後にすべきか、今の借入をどう組み替えるべきかが決まります。金融機関に相談するときも、この数字を持って行くかどうかで話の進み方が変わります。
ある建設会社で実際に起きていたこと
支援している建設会社の社長から、こんな相談を受けたことがあります。
「昼間はお客様がいるので工事ができない。だから、土日や深夜に工事をすることが多い」「社員に負担をかけてしまい、生活の質が下がっている」
この状態は、資金繰りの問題であると同時に、人が続かない問題でもありました。割増賃金で人件費が膨らみ、それでも社員は疲弊していく。どちらか一方だけを見ても解けません。
数字の側からは、どの工程を昼間に移せるか、どの作業を機械に渡せるかを検討しました。人の側からは、誰が何をどこまで担当するのかを決め直しました。財務と組織を切り離さずに見る必要があるのは、こういう場面です。
ファクタリングを使うべき場面もある
誤解のないように書いておくと、ファクタリングを否定しているわけではありません。
大口の受注が決まっていて、着手のための資金が一時的に足りない。そういう局面では合理的な選択です。問題になるのは、構造を直さないまま毎月使い続けることです。手数料が固定費のように積み上がり、利益率がさらに下がります。
一度きりの資金調達なのか、毎月の運転資金の穴埋めなのか。ここを区別してから判断してください。
大阪・吹田で相談する
株式会社フエルは大阪府吹田市を拠点に、大阪府内および関西の中小企業に対して、社外CFOとして財務支援を行っています。運送業や建設業のように、人件費と設備投資の両方が重い業種では、資金繰りの改善と人の仕組みを同時に設計する必要があります。
上の3つの数字は、月次試算表と借入返済予定表があれば出せます。どこから手をつけるべきかが分からない段階でも構いません。まず60分、御社の数字の話を聞かせてください。
出典
- 入金サイト・設備投資・労働時間規制の影響について:運送業の資金繰りが厳しい理由と改善方法(一般社団法人 日本中小企業金融サポート機構)
- 割増賃金率について:労働基準法第37条(時間外25%以上/深夜25%以上/法定休日35%以上)

