「評価制度を作ったんですけど、うまく機能していなくて……」
こう相談してくれる社長が後を絶ちません。制度はある。運用もしている。でも社員の反応が薄い。評価面談が「報告会」になってしまう。そういう会社が実は多いです。
これは評価制度の問題ではなく、設計の問題です。
「評価」と「賃金」が混ざっている
多くの中小企業の評価制度に共通する問題があります。
評価の目的が「給与を決めること」になってしまっていることです。
評価=査定という文脈になると、社員は身構えます。「評価が下がったら給料が下がる」という恐怖が先に来てしまう。すると評価面談は「言い訳の場」になり、上司は「場の雰囲気を壊したくない」からコメントが曖昧になる。結果として、誰も本音を言わない会議になります。
これは設計の問題です。
CFOの視点から見ると、評価制度には二つの機能がある
① 育成のための評価
「次にどう成長してほしいか」を対話するための地図。査定ではなく、会話のツール。
② 賃金決定のための基準
「会社がどれだけ払えるか(CF・利益)」と「この人の市場価値・貢献度」を掛け合わせた計算式。
この二つを分けて設計すると、評価面談の空気が変わります。「成長の話をする場」になるからです。給与の話は別の機会に、別の文脈でする。
CFOが関わると何が変わるのか
人事コンサルタントは評価制度の設計は得意です。ただ、こんな問いには答えられないことが多い。
「この賃金設計で、会社のCFは耐えられるか」
「昇給財源を確保するための利益水準はいくらか」
「等級を上げたとき、賞与原資はどう変わるか」
逆に財務コンサルは「経費を抑えろ」という方向に動きやすい。人件費は経費の最大項目なので削減対象になりがちです。でも、人件費を削って社員が辞めたら、採用コストで倍以上かかる。CFO視点では、優秀な人材の定着は投資対効果が高い施策です。
だから私は、評価制度と財務を一体で設計します。「この利益水準なら、これだけ賃上げできる」という根拠を数字で示しながら、社員が「自分の成長が会社の数字につながっている」と感じられる制度を作る。
40代社長が抱える本音
先日、従業員30名の製造業の社長とこんな話をしました。
「うちの評価制度、父の代から引き継いだんですよ。でも正直、今の会社には合ってない。昔から居る古参社員が高評価になる仕組みになってて、若手が育っても評価されない。それで辞めていくんです。」
これは珍しい話ではありません。代替わりをした40代社長が抱える最も典型的な組織課題のひとつです。
評価制度を作り直すことは、単なる制度変更ではありません。「この会社で誰を大切にするか」という社長のメッセージを、仕組みに落とし込む作業です。
社長が直接「これからの会社はこうしたい」と言っても、社員は「社長のいつもの話」と受け流してしまうことがある。でも、外部の専門家が数字と制度を使って整理すると、同じ内容でも「会社が本気だ」と伝わる。それが外部CFOとして入る意味です。
何から始めるか
- 現状のギャップ診断 — 何が機能していて、何が機能していないかを整理する
- 等級と役割の言語化 — 「何ができれば次のステージに上がれるか」を明文化する
- 賃金財源のシミュレーション — CFと利益から「払える賃金」の上限と下限を計算する
- 評価面談の設計 — 何を話す場か、誰が何を評価するかのルール化
- 試運用と修正 — 完璧を目指さず、動かしながら直す
まず3分の無料診断から始めてみてください。
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矢野 誠(中小企業診断士 / キャッシュフローコーチ)
田辺三菱製薬にて20年間のMR・マーケティング・海外事業経験後、独立。財務・人事評価・経営会議PMOを一体で支援する「社外経営企画室」として、製造業・建設業・医療法人の中堅企業に伴走している。
